北海道の先住民族「アイヌ」は、北海道の歴史を語る上で重要な存在です。自然との共存を目指し、現代人にとって大切な何かを思い出させてくれます。また文化の一端を知ることで、日本文化の多様性にも触れることができるでしょう。
アイヌ民族の文字をもたない伝承文化
アイヌは狩猟や漁業、採取によって自然と共生してきた民族です。ですが決して閉鎖的ではなく、多民族とも活発に交易を行っていたのも特色のひとつ。また文字をもたない伝承文化だったため、江戸時代以前の記録が少ない魅惑的な民族です。
自然と共存する、アイヌ民族の哲学
アイヌ民族は自然と共生する暮らしを続けてきました。「カント オロワ ヤク サク ノ アランケプ シネプ カ イサム」とは、アイヌ民族のことわざで「すべてのものはこの世に役割を持って存在している」という意味。この世にある自然現象・動植物・道具は全て、神の国から人の世に役立てるため送られてくるものという考え方です。そのためどんなことに対しても感謝の念を忘れず、祈りを捧げてきました。アイヌ民族において肉体と魂は別のもの。動物や道具は人の役に立つ姿をまとって、遊びに来ている神々です。また最も位が高い神はヒグマである「キムンカムイ」だと考えられています。
独自デザインが美しいアイヌ文様
アイヌ民族の文化の中で最もアーティスティックに感じるのが、正装の着物や装身具に施された独自の文様でしょう。特に着物はアップリケのように別布を張り合わせて刺しゅうが施してあり、アイヌ民族の美意識の高さが表現されている逸品です。文様はその家々で受け継がれており、地域や作り手によって大きく印象が変わるものもあります。共通しているのは、渦巻き状の「モレウ」ととげ状の「アイウシ」という文様。いずれも魔除けの意味があり、襟や袖口などの開口部に施されています。
木彫りについても似た文様が施されており、祈りを捧げる儀式用に作られた特別なものでした。
成りきり!アイヌ語講座
アイヌ語は文字を持たず、口承によって伝えられてきました。文字は本来、特権階級が持つもので、神の下万物と共生しているという考えを持つアイヌに文字は必要なかったのです。アイヌ語は文章の語順こそ日本語と同じですが、発音の仕方から文法など世界でただひとつの言語と言えます。アイヌ語は母語話者がすでに存在せず、消滅の危機にある言語。道内ではアイヌ語講座なども開催されていますが、ここでも少しだけご紹介します!
①イランカラプテ…こんにちは
「あなたの心に触れさせてください」という温かい想いも込めたあいさつ。
②イヤイライケレ…ありがとう
心からの感謝を伝えるときの言葉。軽いありがとうは「ヒオーイオイ」。
③ヒンナ…美味しい
美味しいものを食べながら、口にする言葉。「美味しい」「旨い」という感想よりも、自然や食材に感謝する意味を持つ。
・阿寒湖アイヌコタン:http://ja.kushiro-lakeakan.com/things_to_do/2863/
・アイヌ生活記念館:http://ja.kushiro-lakeakan.com/things_to_do/2875/
・阿寒湖 アイヌシアター『イコロ』:http://ja.kushiro-lakeakan.com/things_to_do/2893/
・阿寒湖アイヌ文化ガイド「Anytime, Ainutime!」:https://anytimeainutime.jp/
・AKAN AINU ARTS & CRAFTS → NEXT:https://akanainu-next.jp/
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